いちばん遠い場所、それが背中
からだのなかで、自分の目でいちばん見えにくいのが背中です。
手は見える。お腹も見える。でも背中だけは、鏡がないと確かめられません。だからこそ、背中は忘れられやすく、こわばりがたまりやすい場所でもあります。
「背中をたどる呼吸」は、その見えない背中に、光でそっと触れていくアニメーションです。頭のうしろから、肩、肩甲骨、そして背骨へと、光がゆっくりおりていきます。
見えないところを光がなぞると、ふだん意識のとどかない背中が、じんわりと感じられてきます。頭のうしろ、肩のうえ、肩甲骨のあいだ、背骨の一本一本。ふだんは「そこにある」と知っているだけで、感じてはいなかった場所です。
デスクワークやスマホで、私たちの背中はいつも前へ前へと丸まっています。背中は、自分では守ってあげにくい場所。だからこそ、光でそっと触れてもらう時間が、思いのほか効いてきます。
使い方 ── 上から下へ、光といっしょに
- 画面をタップしてはじめます。
- 光が上にのぼるとき、3秒かけて吸う。
- 光が下におりるとき、4秒かけて吐く。
- 頭・肩・肩甲骨・背骨の4つの場面を、それぞれ3回ずつ。
とくに肩甲骨と背骨のあたりは、緊張がこびりつきやすい場所です。光がそこを通るとき、「吐く」息にのせて、肩の力をふっと抜いてみてください。
画面の下の点が、いま何回目かを教えてくれます。数を数える必要はありません。
なぜ、感覚が起きるのか
見えない背中なのに感覚が起きるのは、脳の働きによるものです。どれも一言でいえば、こういうことです。
ミラーニューロン。 見たものを、自分がされているように感じる脳の仕組みです。光が背中をなぞるのを見ると、脳は背中をなでられたと感じはじめます。
脳の先回り。 脳は「次にこう触れられる」と予測して、実際に触れられる前から感覚を用意します。見えない背中でも、光の動きから、脳が感触を作り出してくれます。
境界の感覚。 からだの輪郭は、「どこまでが自分か」という心の境目です。見えない背中まで光でなぞられると、その境目がぐるりと閉じて、「まるごと自分」という感覚が戻ってきます。
背中を感じられるようになると、姿勢も、呼吸も、少し深くなります。胸を張ろうと力むのではなく、背中側に「自分がいる」と感じられるだけで、肩は自然と落ち、息の通り道が広がるからです。
背中は、感情がこわばりやすい場所ともいわれます。緊張すると、背中はぎゅっと固くなる。だから背中がゆるむと、気持ちのほうも、少しほどけていきます。
終わりに
見えない背中も、あなたの輪郭のうち。
自分では見えない場所こそ、いちばん大切にされたがっているのかもしれません。
この背中の呼吸は、音声でもご案内しています。目を閉じて味わいたい方は stand.fm へ。
からだの感覚と錯覚のはなしは、note にまとめています。あわせてどうぞ。

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